第159章 これこそあなたが望んでいたものじゃないのか

また今年も、金色の秋が巡ってきた。金木犀の香りがふわりと漂い、学生たちが三々五々、連れ立ってキャンパスへ吸い込まれていく。

長谷川栞は気づけば、車に乗ったまま見知らぬ大学の正門前にいた。

校門のあたりは人であふれ、入学する子どもを送り届ける車が、色とりどりに長い列を作っている。

――私も、その中の一台なの?

ぼんやりそう思った次の瞬間、栞は反射的に身を縮め、車内へ引っ込んだ。

隣で、派手なマセラティがうなりを上げて停まる。ドアが開き、成長した中野蓮がサングラスをかけたまま、堂々と降りてきた。

栞は目を見開き、思わず声をかけそうになって――喉の奥で止める。

違う。呼んじゃだめだ。...

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